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書籍男子

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「こちらですね。少々、お待ち下さい」


にっこりと笑って手渡された本を持ち、在庫の確認へと裏へ向かう。

客もそうだが、今日はスタッフの人数も少ない。

いつもなら、在庫の管理をしてくれている山本さんも、今日はお休みだったはずだ。

埃っぽく薄暗い倉庫の中で、目的の本を見つけようと棚を探す。

確か、この本は少し古い出版のはずだから…と、棚に目を凝らす。


「ん?大谷?」
「あ、東さん」


バイトの先輩、東さんがゆっくりとした足取りでやって来た。

少し長めの髪を掻き揚げ、首をちょっとだけ傾けて不思議そうな顔をする。

東さんは無駄にカッコイイから、そういった仕草でさえ色気が凄いのだ。


「どーしたの?」
「えっと……この本を探していて…」


少しドキドキしながら手元の本を差し出すと、あーと小さく声を出してちょっと嫌そうな顔をした。

……どうか、したのだろうか?


「まーじかー……コレ昨日、上に上げたばっかりなんだわ」
「え……」


思わず俺も声を出して嫌な顔をしてしまう。

東さんの言う『上』とは、棚の上段。

普段あまり出ないが、時折問い合わせがある…そんな感じの本をまとめておいて置くのだ。

高い位置にあり、はしごを使用しないと見る事も出来ず…正直、あまり見に行きたくない。

そう思うものの、お客様が待っていると思うと、溜息を吐きつつも身体ははしごを動かしていた。


「あー……あった、あった。あそこだわ」


俺がはしごを移動させている間に、東さんが本を探していてくれたらしい。

…よく、こんな薄暗い中で見つけられるな。

あまり、目の良くない俺にとっては羨ましい限りだ。


「ほら、支えてやるよ」
「あ、ありがとうございます」
「いいって事よ」


ニッと男らしい笑いに、ドキッとして慌てて段へと足をかけた。


「えーっと…ん?あれ?東さん、どこに…」
「え?その辺に無い?」
「え?」


目の前の棚には、目的のものは無い気がするのだが…

おっかしいなぁ…と不安定な足元ながらも、身体を伸ばしたり屈めたりして、周囲の棚を探す。


「あー…大谷、危ないし、ちょっと一回下りね?」
「え?いや、でも…」
「いーから」


少し切羽詰った様子の東さんに首を傾げながら、言われた通りにゆっくりと下りてゆく。

もう少しで足がつく…という所で、東さんに脇の下に手を差し込まれて持ち上げられる。


「うわっ?!あ、東さん?!!」
「はい、じっとしてー」


確かに、今暴れたら危ない。

それは分かってはいたが…何だか凄く恥ずかしい。

いくら俺が小柄だからって、この扱いは子供じゃないか。

一応…大学生だし、抱っことかしてもらう年でもないし…

恥ずかしさから、無言で顔を下げる俺にかまわず、東さんは優しく下ろしてくれた。


「あ、あの…ありがとうござっ…?!」


東さんとはしごの間で、とりあえずお礼を…と向きを変えようとしたが、何故かそのままグッとはしごに押し付けられるように身体を密着させられる。

背中に感じる東さんの体温が、暖かい…


「えっと…東さん?」
「目の…毒なんだよな…」
「え?」


何か呟いたと思ったら、そのまま上を向かされ目の前が真っ暗になった。

口内をうごめく熱い何かを感じながら、首が痛い…とか、場違いな事を考えた。

いや、そうじゃない!!今、考えるのはそこじゃない!!


「ん゛-!!ん゛んー!!」


ビックリして抵抗するも、俺よりも伸長も力もある東さんに敵う訳も無く、されるがままに口内を弄ばれる。

少しでも苦しさから逃れたくて舌を引くも、東さんのそれが追って絡める。

徐々に東さんに快感を引き出され、頭がふわふわとしてくる。


「んっ……んん……」
「…っは……これは、ヤバイな…」
「ふぁ?…?!!」


半分惚けた顔で東さんを見上げると、熱の篭った目でこちらを見つめていた。

俺は知っている…コレは雄の目だ。


「大谷…ゴメンな?」
「え?東さ…?!!!」


いつの間にか緩められていたベルトを抜き取られ、器用に手首を頭の上に拘束される。

凄いな東さん…手品師にでもなれるんじゃないかな?

…って、だから、そんな事考えてる場合じゃないっ!!

ぼんやりとその様子を見ている間にも、東さんは手際よくズボンを下着ごと下げてしまう。

気がつけば、はしごに押し付けられるようにして身体を固定され、俺のモノはゆっくりと刺激されていた。


「あっ!!」


ゆるゆると触られているだけなのに、他人からの刺激だという事実にあっという間に俺のモノは硬度を増していく。

しかも、的確に良い所を狙ってくるのだから、抗う事など出来はしない。


「んっ…あ、東さ……んん!!」


止めてください…そう続けようとした言葉は、東さんの手によって言えなくなってしまう。

無意識に洩れ出てしまいそうな声を、何とか我慢しようと必死に歯を食いしばる。

徐々に力が抜け、膝が笑い出し、不自由な両手で目の前のはしごにしがみ付く。


「……大谷、一回イッとけ?」
「ふぇ?…っ!!!あぁ!!」


急に激しさを増す手の動きに我慢できず、俺は東さんの手の中に性を吐き出した。

出してしまえば独特の気だるさや、思いもよらぬ出来事へのショック、東さんの見ている前でその手の中に性を吐き出してしまった事への恥ずかしさなどでその場にしゃがみ込みそうになる。

そんな俺を、東さんは片手一本で支え、再びはしごへと掴ませた。


「あ……ずま…さ?」
「!!!」


不安から、半分泣きそうになりながらもゆっくりと振り返ると、東さんはビックリとした様子で俺の顔を見つめた。


「…もぅ……ホント…ゴメ…」
「え?今、何て…!!!」


性を吐き出したばかりで敏感なソレを、再び東さんは刺激する。

それと同時に他人には触れられたことの無い場所を、ヌルリとした指で撫でられる。


「え?!ちょっ!!東さん!!」
「ほら、そんなに大きい声出すと、外に聞こえっから」
「!!!」


そう言えば、ここは倉庫…もしかしたら、他の店員が来るかもしれない。

ましてや店とも近いため、大きな声を出せば店内の客にまで聞こえるかもしれない…

そう思うと、緊張で身体が硬くなる。

俺が他の事に気をとられている間に東さんの指がスルリと俺の中に入ってきた。


「っ!!」
「大丈夫か、大谷…ゆっくり呼吸して」


耳元で落ち着いた声でそう囁かれるも、異物感と怖さでままならない。


「やっ……あず…さ……ぬい……て…」


荒い呼吸を繰りか合えす俺に、東さんは耳の後ろや首筋に軽く何度も口付ける。

徐々に呼吸が整ってくると、今度は気持ち悪さに泣きたくなった。

身体を動かそうにも、はしごに押さえつけられていて逃げれない。


「大谷、深呼吸」


言われるままに2、3回深呼吸すると、俺のモノへの刺激が激しくなる。

それに気を向ければゆるゆると後ろに入れられた指が動いて、その存在を主張する。

気持ちが悪いのか、気持ちがいいのか分からなくて、ポロポロと涙が溢れた。

クチュリクチュリと音を立てて全体を解すような動きの指は、既に2本へと数を増して圧迫感が強くなる。


「っあ…はっ…ん……」
「大谷…大丈夫だ」


苦しむ俺に、東さんはそう繰り返し、優しい声で囁く。

何が大丈夫なのか分からない。

こんなにも怖くて、気持ちが悪いのに…

涙で視界がぼやけてしまい、もう何も分からない。

身体の中を動き回る指が、ふとある部分を掠めた瞬間ビリッと電気が走った様な感覚に襲われる。


「っんあ!!!」
「…みーっけ」


嬉しそうな東さんの声とは裏腹に、俺は益々混乱するばかり。

一体、どうなったんだ?

集中的にそこばかりを攻める東さんの動きから得られる快楽に、知らず知らずのうちに浸っている。


「ああっ…んっ……」
「ごめんな大谷…めちゃくちゃ可愛いんだけど、ちょっとだけ我慢しような?」
「んんっ!!」


慌てて口を閉じると、フッと東さんが笑った気がした。

必死で再び声を我慢する俺を、容赦なく刺激し気持ちよくする。

女みたいに身体の中をいじられ感じる自分が、何だか情けなくも怖くもある。

それでも、その快感に抗う術を俺は持っていない。


「もう…いいか?」
「っあ…」


指を抜かれ、えも言われぬ喪失感を感じ思わず声が出る。

しかし、すぐそこに熱いモノがあてがわれビクリッと身体が跳ねる。

直接、目にしなくても分かる…同じ男なのだから。

怖くて、逃げ出そうとする俺の腰を掴み、ゆっくりと俺のモノを弄りながら入れてゆく。


「大谷…力、抜け?」
「っあ…む…りぃ……」


首筋に口付けをしながら、囁く東さんに必死に訴えるも止めてくれる気配は無い。

それでも気がつけば、東さんの身体は俺と密着していて…

東さんのモノを全て入れる事が出来ただなんて、信じられなかった。

すっかり萎えてしまった俺のモノを弄りながら、東さんは腰を動かす。

始めはゆっくりと…徐々に早く…それは明確な意図の下での行為。

先程の場所を探り当てると、執拗にソコばかりを狙って律動を繰り返していく。

前と後、両方からの刺激に、俺は力なくただ揺さぶられ感じるだけで、何も考えられない。

波が押し寄せる様に近づいて来る最後を感じながら、身体を出入りする東さんも同じなのかもしれないと思う。

先程から無言なのだ…


「あっ…やぁ……東さん…も、むりぃ…」
「いいぜ…イケよ」
「あっ…あっ……あぁっっ!!」
「っく…」


身体が痙攣し、頭が真っ白になる。

わだかまっていた熱が放出され、心地いい気だるさを感じる。

身体の中の違和感には、今は目を向けないでおこうと、思いながら…









汚れてしまったエプロンを握り締めながら、東さんを睨むと「わりぃ…」と困った様に笑われた。

オレの中で性を吐き出した東さんは、綺麗にするからと再び俺の中を指でかき回した。

そのままにしておくと腹を壊すと言われれば、そのままに出来ない。

しかも、自分では出来ない。

しぶしぶ東さんに任せたが…完全に失敗だった。

結局、もう一度俺がイクまでかき回され、散々泣かされたのだ。


「いやさ、大谷の反応がめちゃくちゃ可愛いからよぉ…」
「だからって…信じられませんっ!!」


今にも崩れ落ちてしまいそうな膝に、叱咤しながら何とか身支度を整える。

そこまで来て、ようやく何故この場所へ来たのかを思い出し、顔面蒼白になる。


「あ…本っ!!」
「あー、アレ?大丈夫だぞ?」
「え?」


思わぬ返事に東さんを見上げると、何でもないといった様子でこちらを見ていた。


「あれ、ここに来る前に渡しといたから」
「え…どういう…」
「あの本、店内のちょっと分かりづらい所にあったんだわ。だから、もう渡した」


多分、客はもう帰ったと思うぞー。とか、呑気にのたまう東さんにめまいと殺気を覚える。

つまり…


「つまり、東さんは…もう必要ないこと知ってて俺とココに居たんですか?」
「おぉ」
「あ、あまつさえ…あんな…」


思い出して、顔を真っ赤にする俺に「だから、謝ったじゃん?」と、何でも無い事の様に言う。

信じられない…本当に…本当に…


「あ…あ…東さんの……ど変態ー!!」
「え?!ちょっ!!大谷?!!!!!」


盛大に叫んでやると、俺はその場をダッシュで逃げ出した。








その後、バイト先で東さんが皆に『変態さん』としばらくの間呼ばれていたが、俺には関係ないことだ。


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